ETIAS(エティアス)完全ガイド
日本人のための
申請方法・費用・対象国まとめ

公開日: 2026年5月20日更新日: 2026年5月20日

ETIASとは何か

ETIAS(European Travel Information and Authorisation System、欧州渡航情報認証制度)は、欧州連合(EU)が導入する電子渡航認証システムです。シェンゲン協定に加盟する30か国への短期渡航(180日間のうち90日以内)を希望するビザ免除国の旅行者に対し、事前のオンライン申請を義務づける制度として設計されています。

日本はシェンゲン圏に対するビザ免除国に該当するため、ETIAS導入後は日本国籍の方がヨーロッパへ渡航する際にこの電子認証を取得する必要があります。現在は日本のパスポートだけで入国できますが、2026年Q4以降はETIASの事前取得が加わることになります。

ETIASの仕組みは、アメリカのESTA(Electronic System for Travel Authorization)や韓国のK-ETA(Korea Electronic Travel Authorization)と類似しています。いずれもビザ免除プログラムの一環として導入された電子事前認証であり、渡航前にオンラインで旅行者の基本情報を確認するものです。

重要なポイント

ETIASはビザではありません。ビザが入国許可証であるのに対し、ETIASはシェンゲン圏への渡航資格があるかどうかを事前に確認するためのスクリーニングシステムです。ETIASを取得していても、最終的な入国の可否は国境管理官が判断します。

なぜETIASが導入されるのか

ETIASが導入される最大の目的は、ヨーロッパの安全保障を強化することです。シェンゲン圏では国境検査が撤廃されているため、外部からの入域管理がより重要になっています。ETIASによって渡航者を事前にスクリーニングすることで、テロリズムや組織犯罪に関わる人物がシェンゲン圏に入ることを未然に防ぐ狙いがあります。

また、不法移民の防止も大きな目的の一つです。ビザ免除で入国した後にオーバーステイ(滞在超過)するケースを減らすため、入国前の段階で渡航者の身元や渡航目的を確認する仕組みが求められていました。ETIASは複数のデータベースと照合して申請者を評価し、リスクの高い渡航者を特定します。

さらに、EU域内の人の移動に関するデータを一元管理することで、出入国管理の効率化も図られます。2024年から段階的に導入が進むEES(出入国管理システム)と連携し、シェンゲン圏の国境管理をデジタル化する大きなプロジェクトの一環としてETIASは位置づけられています。

従来の国境管理との違い

これまでシェンゲン圏では、ビザ免除国の旅行者に対する事前審査の仕組みがありませんでした。日本のパスポート保持者であれば、有効なパスポートと往復航空券さえあれば、特別な事前手続きなく入国できていたのです。

しかし、アメリカ(ESTA)、カナダ(eTA)、オーストラリア(ETA)など主要な先進国がすでに同様の電子渡航認証を導入しており、EUもこの国際的な流れに沿う形でETIASを整備することになりました。これにより、旅行者は出発前に自分のステータスを確認でき、航空会社も搭乗前に渡航資格を確認できるようになります。

ETIASが必要な人・不要な人

ETIASが必要な方

以下のすべての条件に該当する方はETIASの申請が必要です。

ETIASが不要な方

注意事項

ETIASが必要かどうかは国籍によって決まります。日本国籍の方は基本的にETIASが必要ですが、二重国籍でEU加盟国の国籍も持っている場合はEU側のパスポートで渡航すればETIASは不要です。

申請方法と手順

ETIASの申請はすべてオンラインで完結します。公式ウェブサイトまたは専用のモバイルアプリから申請が可能で、所要時間は約10〜15分程度です。以下に具体的な手順を解説します。

ステップ1: 公式サイト・アプリにアクセス

ETIAS公式ウェブサイト、またはApp Store/Google Playからダウンロードできる専用アプリにアクセスします。フィッシング詐欺を避けるため、必ず公式のサイトやアプリからお申し込みください。非公式の仲介サイトでは追加料金を請求されることがありますのでご注意ください。

ステップ2: パスポート情報の入力

有効なICチップ搭載パスポートの情報を入力します。入力が必要な項目は以下の通りです。

モバイルアプリを使用する場合は、パスポートのICチップをNFCで読み取ることで入力を自動化できます。手入力の場合は、パスポートの記載内容と完全に一致するよう慎重に入力してください。スペルミスがあると審査に影響する可能性があります。

ステップ3: 個人情報・渡航情報の入力

パスポート情報に加えて、以下の情報も入力します。

ステップ4: セキュリティ質問への回答

安全保障上のスクリーニングとして、いくつかの質問に回答します。具体的には、犯罪歴、紛争地域への渡航歴、過去の入国拒否や強制退去の有無、特定の感染症の有無などについて質問されます。すべての質問に正直に回答してください。虚偽の申告は申請却下や将来の入国禁止につながる可能性があります。

ステップ5: 申請料の支払い

申請料20ユーロをクレジットカードまたはデビットカードで支払います。18歳未満の方および70歳以上の方は申請料が免除されますので、支払いは不要です。決済が完了すると、申請が正式に処理に回されます。

ステップ6: 審査結果の受信

審査結果は登録したメールアドレスに通知されます。ほとんどの場合、申請から数分〜数時間以内に結果が届きます。ただし、追加確認が必要な場合は最大30日かかることもあるため、渡航の少なくとも72時間前までに申請を完了することが推奨されています。

日本人旅行者へのアドバイス

申請時にパスポートの氏名ローマ字表記と入力内容が一致しているか確認してください。日本人の氏名は「姓・名」の順序で記載されていますが、ETIASのフォームでは名(First Name)・姓(Last Name)の順で入力する可能性があります。間違えやすいポイントなので注意しましょう。

申請手順の詳細についてはETIAS申請方法のページもあわせてご確認ください。

費用と支払い方法

ETIASの申請費用は1回あたり20ユーロです。当初は7ユーロと発表されていましたが、システムの開発・運用コストを踏まえ、2025年に20ユーロへ改定されました。日本円に換算すると約3,200円程度です(為替レートにより変動します)。

申請料が免除されるケース

支払いに利用できるカード

支払いにはクレジットカードまたはデビットカードが利用できます。Visa、Mastercard、JCBなど主要な国際ブランドに対応する予定です。日本で一般的に使われているカードであれば問題なく決済できるでしょう。

費用の詳細についてはETIAS費用・支払い方法のページで詳しく解説しています。

対象国一覧

ETIASの対象となるのは、シェンゲン協定に加盟する以下の30か国です。これらの国に渡航する場合、ETIASの事前取得が必要になります。

地域対象国
西ヨーロッパフランス、ベルギー、オランダ、ルクセンブルク
中央ヨーロッパドイツ、オーストリア、スイス、リヒテンシュタイン、チェコ、ポーランド、スロバキア、ハンガリー
南ヨーロッパイタリア、スペイン、ポルトガル、ギリシャ、マルタ、クロアチア、スロベニア
北ヨーロッパフィンランド、スウェーデン、デンマーク、ノルウェー、アイスランド、エストニア、ラトビア、リトアニア

対象国の詳細リストはETIAS対象国一覧ページをご覧ください。各国の個別ガイドとしてフランスイタリアスペインドイツスイスのページも用意しています。

有効期間と滞在ルール

承認されたETIASは3年間有効で、その期間中は何度でもシェンゲン圏への渡航が可能です。ただし、以下の点に注意が必要です。

滞在日数の制限

ETIASがあっても、シェンゲン圏での滞在は「180日間のうち最大90日間」というルールに従う必要があります。これは「直近180日間をさかのぼって計算し、その間の合計滞在日数が90日を超えてはならない」という意味です。

たとえば、4月1日から6月29日まで90日間フランスに滞在した場合、その後すぐにドイツへ渡航することはできません。180日間の計算期間が経過するまで待つ必要があります。

パスポートの有効期限との関係

ETIASの有効期限は最大3年間ですが、パスポートの有効期限がそれより先に切れる場合はパスポートと同時にETIASも失効します。また、シェンゲン圏への入国には、滞在予定期間の終了日から少なくとも3か月以上のパスポート残存有効期間が必要です。

導入スケジュール

ETIASの導入スケジュールはこれまで複数回延期されてきました。当初は2021年の運用開始が予定されていましたが、技術的な課題やCOVID-19パンデミックの影響で延期が繰り返されました。

現時点での最新情報では、ETIASポータルの開始は2026年Q4(10月〜12月)が予定されています。具体的な日程が確定次第、当サイトでもお知らせいたします。

移行期間について

運用開始直後は一定の移行期間が設けられる可能性があります。移行期間中はETIASを取得していない旅行者に対して即座に入国を拒否するのではなく、空港や国境で申請を案内する猶予措置がとられることが想定されています。ただし、正式な運用開始後は確実にETIASを取得してから渡航するようにしましょう。

ETIASとビザの違い

比較項目ETIASシェンゲンビザ
対象者ビザ免除国の国民ビザが必要な国の国民
申請方法オンライン完結大使館・領事館への訪問
費用20ユーロ80ユーロ〜
処理時間数分〜数時間15日〜45日
有効期間3年間申請内容による
入国保証なし(渡航資格の確認のみ)なし(最終判断は国境管理官)

他の電子渡航認証との詳しい比較はETIAS vs ESTA vs K-ETA比較ページをご覧ください。ESTA経験者の方はESTA経験者向けガイドも参考になります。

日本人旅行者が知っておくべきポイント

日本のパスポートの信頼性

日本のパスポートは世界で最も信頼されるパスポートの一つであり、多くの国にビザなしで渡航できます。ETIASの審査においても、日本国籍の申請者は高い承認率が予想されます。通常の観光やビジネス目的であれば、審査で問題になることはほとんどないでしょう。

複数国周遊時の注意点

日本人旅行者に人気のヨーロッパ周遊旅行では、1回のETIASですべてのシェンゲン協定加盟国を訪問できます。たとえば、パリ(フランス)からローマ(イタリア)を経由してバルセロナ(スペイン)に行く旅程でも、追加の申請は不要です。ただし、最初に入国する国を申請時に申告する必要があります。

ビジネス渡航における留意点

ビジネス目的の渡航でもETIASは必要です。商談、会議出席、展示会参加、短期研修など、報酬を受けない短期の業務活動はETIASの範囲内です。ただし、現地で就労する場合(報酬を受ける活動)は別途就労ビザが必要になります。

家族旅行の場合

家族でヨーロッパに渡航する場合、18歳以上の家族成員はそれぞれ個別にETIASを申請する必要があります。18歳未満の子どもは申請料が免除されますが、申請自体は保護者が代行して行う必要があります。1つの申請で家族全員分をまとめることはできません。

今からできる準備

ETIASの運用開始は2026年Q4の予定ですが、今からできる準備があります。スムーズな申請のために以下の点を確認しておきましょう。

申請が却下された場合の対処法についてはETIAS申請却下・トラブル対応ガイドをご参照ください。

よくある質問

ETIASはビザではなく、電子渡航認証です。ビザは大使館への申請が必要で取得に数週間かかりますが、ETIASはオンラインで申請でき、通常は数分から数時間で結果が出ます。費用もビザが数千円〜数万円かかるのに対し、ETIASは20ユーロと手軽です。
ETIASポータルは2026年Q4(10月〜12月頃)の開始が予定されています。運用開始後すぐにオンラインで申請が可能になります。渡航予定の方は、出発の少なくとも72時間前までに申請を完了することをお勧めします。
ETIASはパスポートと電子的にリンクされているため、パスポートを更新・再発行した場合は新たにETIASを申請する必要があります。旧パスポートに紐づいたETIASは使用できなくなりますのでご注意ください。
はい、ETIASの申請が却下される可能性はあります。主な理由としては、犯罪歴がある場合、過去にシェンゲン圏でオーバーステイした場合、入力情報に誤りがある場合などが挙げられます。却下された場合は不服申し立てが可能です。
ETIASが承認されれば、シェンゲン協定加盟30か国すべてに渡航できます。1つのETIASで複数国を周遊することも可能で、フランス、ドイツ、イタリア、スペインなど人気の観光国をまとめて旅行できます。

ETIASの申請準備を始めましょう

2026年Q4の運用開始に備えて、必要な情報を事前に確認しておくことをお勧めします。

申請手順を確認する