申請の全体像
ETIASの申請プロセスは、大きく分けて「準備」「入力」「支払い」「審査待ち」の4段階に分かれます。すべてオンラインで完結するため、空港や大使館・領事館に出向く必要はありません。申請にかかる時間は入力作業で約10〜15分、審査結果は通常数分から数時間以内に届きます。
日本人旅行者がスムーズに申請を進めるためのポイントを交えながら、各ステップを詳しく解説していきます。申請の全体像をまず把握しておくことで、実際の入力時に迷うことがなくなります。
なお、ETIASの申請は渡航日の少なくとも72時間前までに完了させることが推奨されています。余裕を持って1週間から2週間前には申請を済ませておくと安心です。特に繁忙期(ゴールデンウィークや夏休みシーズン)はアクセスが集中する可能性があるため、早めの申請を心がけましょう。
申請前の準備
ETIAS申請をスムーズに進めるために、事前に以下の準備をしておきましょう。必要なものを手元に揃えてから申請を始めることで、入力ミスを減らし、途中で中断することを避けられます。
必ず用意するもの
- 有効なICチップ搭載パスポート(渡航予定日から少なくとも3か月以上の残存有効期間が必要)
- クレジットカードまたはデビットカード(Visa、Mastercard、JCBなど国際ブランド)
- メールアドレス(審査結果の受信用。普段使用しているアドレスを推奨)
- 電話番号(連絡先として登録)
あると便利なもの
- 渡航先のホテル予約確認書(滞在先住所の入力に使用)
- 航空券の予約番号(最初に入国する国の確認に使用)
- 勤務先の英語名称と住所(職業情報の入力に使用)
日本のパスポートは2006年3月20日以降に発行されたものにはすべてICチップが搭載されています。パスポート表紙にICチップのマーク(長方形の中に丸いデザイン)が印刷されていれば、ICチップ搭載パスポートです。それ以前に発行されたパスポートをお持ちの方は、まずパスポートの更新をお勧めします。
ステップ1: 公式サイトへのアクセス
ETIAS公式ウェブサイトにアクセスします。検索エンジンで「ETIAS 公式」と検索してアクセスするか、EUの公式ドメインからリンクをたどってください。非公式の仲介サイトは正規の申請料に加えて高額なサービス料を上乗せしていることがあるため、必ず公式サイトから申請してください。
公式サイトにアクセスしたら、画面の言語設定を確認します。日本語対応が予定されていますが、表示言語が異なる場合は画面上部や右上の言語切り替えメニューから日本語を選択してください。
サイトにアクセスしたら「新規申請」または「Apply Now」といったボタンをクリックして申請を開始します。グループ申請(家族やツアーグループ向け)のオプションがある場合は、該当する方を選択してください。
「ETIAS代行申請」を謳う非公式サイトが多数存在します。これらのサイトでは公式の申請料20ユーロに加えて50〜100ユーロ以上の手数料を請求されることがあります。ETIASの申請は個人で簡単に行えるため、代行サービスを利用する必要はありません。
ステップ2: パスポート情報の入力
申請画面が表示されたら、まずパスポート情報を入力します。モバイルアプリを使用する場合はスマートフォンのNFC機能でパスポートのICチップを読み取ることができ、手入力の手間を省けます。パソコンから申請する場合は手動で入力します。
入力が必要なパスポート情報
| 項目 | 入力例(日本人の場合) | 注意点 |
|---|---|---|
| 姓(Last Name / Surname) | TANAKA | パスポート記載のローマ字表記 |
| 名(First Name / Given Name) | TARO | パスポート記載のローマ字表記 |
| 生年月日 | 1990-01-15 | 日/月/年の形式の可能性あり |
| 性別 | Male / Female | パスポート記載通り |
| 国籍 | Japan | プルダウンから選択 |
| パスポート番号 | TK1234567 | アルファベット2文字+数字7桁 |
| パスポート発行日 | 2023-04-01 | パスポートの記載を確認 |
| パスポート有効期限 | 2033-04-01 | 渡航日から3か月以上必要 |
| 出生地 | Tokyo, Japan | 市町村名と国名 |
日本のパスポートでは氏名が「姓・名」の順で記載されていますが、ETIAS申請フォームでは「名(First Name)・姓(Last Name)」の順で入力を求められる可能性があります。順番を間違えないよう注意してください。また、ミドルネームがない場合は空欄のままで問題ありません。
ステップ3: 個人情報・渡航情報
パスポート情報の入力が完了したら、次に個人の連絡先情報と渡航に関する情報を入力します。
連絡先情報
- メールアドレス: 審査結果の通知先として使用されます。確実に受信できるアドレスを入力してください。
- 電話番号: 国番号(日本は+81)を含めた番号を入力します。例: +81 90-1234-5678
- 現住所: 日本の自宅住所を英字で入力します。
渡航情報
- 最初に入国予定のシェンゲン協定加盟国(例: フランス)
- シェンゲン圏での最初の滞在先住所(ホテル名と住所など)
- 渡航目的(観光、ビジネス、トランジットなど)
職業・学歴情報
現在の職業と勤務先情報も入力が求められます。会社員の方は会社名と住所を英語で入力します。学生の方は学校名を記入し、退職者の方は「Retired」を選択します。
ステップ4: セキュリティ質問
安全保障のスクリーニングとして、以下のような質問に「はい」または「いいえ」で回答します。すべての質問に正直に回答してください。虚偽の申告が判明した場合、ETIASの取り消しや将来の申請拒否につながります。
- 過去に犯罪で有罪判決を受けたことがあるか
- 過去10年間に紛争地域に渡航したことがあるか
- 過去にシェンゲン圏の国から入国を拒否されたり強制退去させられたことがあるか
- 過去にシェンゲン圏で許可された滞在期間を超過したことがあるか
- 特定の感染症に罹患しているか
- 薬物関連の犯罪歴があるか
日本人旅行者の大半はすべて「いいえ」と回答することになりますが、該当する事項がある場合は正直に回答してください。「はい」と回答した場合でも、それだけで即座に却下されるわけではなく、追加審査を経て判断されます。
ステップ5: 申請料の支払い
すべての情報入力が完了したら、申請料20ユーロの支払いに進みます。支払い方法はクレジットカードまたはデビットカードです。
支払いに利用できるカードブランドはVisa、Mastercard、JCBなどが対応予定です。日本国内で発行された一般的なクレジットカードであれば問題なく使用できます。
18歳未満の方と70歳以上の方は申請料が免除されるため、支払い画面はスキップされます。該当する方は年齢確認の後、自動的に無料扱いとなります。
支払い時に請求される金額はユーロ建てですが、クレジットカード会社による自動円換算で日本円として請求されます。為替レートはカード会社の換算レートが適用されます。海外事務手数料(通常1.6〜2.2%程度)が別途加算される場合があります。
費用の詳細についてはETIAS費用・支払い方法ページもご覧ください。
ステップ6: 審査と結果通知
支払いが完了すると、申請が正式に処理に回されます。審査は自動システムによって行われ、複数のセキュリティデータベースと照合されます。
審査にかかる時間
| 審査状況 | 所要時間 | 対象者の割合(予想) |
|---|---|---|
| 自動承認 | 数分〜数時間 | 約95%以上 |
| 手動審査(追加確認) | 最大96時間 | 約3〜4% |
| 追加情報提出要求 | 最大30日 | 約1%未満 |
結果は登録したメールアドレスに送信されます。承認された場合は確認番号が記載されたメールが届きます。ETIASはパスポートと電子的にリンクされるため、承認書を印刷して持参する必要はありません。
万が一申請が却下された場合の対処法についてはETIAS申請却下・トラブル対応ガイドをご覧ください。
承認後の流れ
ETIASが承認されたら、そのまま渡航の準備を進めましょう。承認されたETIASはパスポートと電子的にリンクされているため、紙の書類を印刷して持参する必要はありません。ただし、念のためメールに記載された確認番号をスクリーンショットで保存しておくと安心です。
空港でのチェックイン時に、航空会社のシステムがETIASのステータスを自動確認します。また、シェンゲン圏の入国審査でも国境管理官がパスポートをスキャンしてETIASの有効性を確認します。
承認されたETIASは3年間(またはパスポートの有効期限まで)有効で、その期間中は何度でもシェンゲン圏へ渡航できます。ただし、1回の滞在は180日間のうち最大90日間です。
よくあるミスと対処法
氏名のスペルミス
最も多いミスがパスポート記載の氏名と異なるスペルで入力してしまうケースです。特に「し(SHI)」「ち(CHI)」「つ(TSU)」「ふ(FU)」など、日本語のローマ字表記に揺れがある文字は要注意です。パスポートに記載されている通りに入力してください。
生年月日の形式ミス
日本では「年/月/日」の形式が一般的ですが、ヨーロッパでは「日/月/年」の形式が使われることがあります。たとえば1990年3月15日は「15/03/1990」と入力する形式の場合があります。フォームの形式をよく確認してから入力してください。
メールアドレスの入力ミス
審査結果がメールで届くため、メールアドレスの入力ミスは致命的です。特にドメイン名(@以降)の打ち間違いに注意してください。入力後に確認画面でもう一度チェックすることをお勧めします。
モバイルアプリでの申請
ETIAS専用のモバイルアプリがApp Store(iOS)およびGoogle Play(Android)で提供される予定です。モバイルアプリにはパソコン版にない便利な機能があります。
- NFC機能によるパスポートICチップの読み取り(情報を自動入力)
- パスポート写真ページのカメラ撮影による文字認識(OCR)
- 申請状況のプッシュ通知
- 承認済みETIASの確認番号のオフライン保存
特にNFC読み取り機能は、手入力によるスペルミスのリスクを大幅に減らせるため、スマートフォンからの申請をお勧めします。ただし、すべてのスマートフォンがNFC対応しているわけではないため、事前にお使いの端末のNFC対応状況をご確認ください。